つみたてNISAの落とし穴

落とし穴

こんにちは、下山です。

2018年の1月から「つみたてNISA」の制度がスタートします。

つみたてNISAとは、投資で獲得した利益に対する税金を、20年間にわたって非課税にする制度です。

通常、投資で獲得した利益に対しては約2割の税金を支払わなければいけませんが、それが一定の条件下で免除されるということですね。

そしてそれに先立ち「つみたてNISA」口座の開設も先週からいよいよ本格的に開始しました。

実際に口座開設された方はおそらくまだ少ないかとは思いますが、この制度に興味を持たれている方はきっと多いでしょう。

ただ、「これまでのNISAと何が違うのかよく分からない。そもそもNISAもよく分かっていないけど、なんとなくお得そうだし、使えるものは使っておきたい」と考える方もいらっしゃることでしょう。

そこで本日の記事では、「つみたてNISAは本当にお得に使える制度なのか?

この制度を活用することが安定的に利益を獲得することに繋がるのか?

本当のところを7年間利益を出し続けている現役トレーダーとしての視点からお伝えします。ぜひ参考にされてください。

つみたてNISAの落とし穴

そもそもつみたてNISAはなぜできたのか?

金融庁が公開しているこちらのレポートにその理由が書かれていました。

http://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4/02.pdf

 

ポイントは以下の通りです。

  • 欧米に比べて日本で金融資産の伸びが鈍い状態にあるが、それは日本国民が投資をしていないからだ!
  • 事実、アメリカでは運用リターンによる家計金融資産は1995年から2015年までの20年間で2.32倍になっている一方で日本ではたったの1.15倍にしかなっていない。
  • 分散投資をして長期保有すれば中長期的に安定的なリターンが実現可能になる。

【根拠】

1995年から2015年までの20年間で国内、先進国、新興国の株・債券に6分の1ずつ投資したら利回りは79.9%(年平均4.0%)

簡単にまとめると、
日本国民に分散投資をさせて長期的に運用させれば資産が増えて、日本経済も活性化するはずだから、個人の長期投資を後押しするためにつみたてNISAを作ったよ!
ということですね。

あなたはこの話を聞いて何を感じますか?

自分としては違和感を感じる部分があります。

確かに日本における預貯金信仰は行き過ぎているように感じますので現在預金として眠っている資金を呼び起こし投資に回すように促す、ということは理にかなっていると言えます。

まあそもそも「預貯金をしていたら安全」という考えは幻想ですしね。

今後インフレが起これば現金の価値は目減りし、実質的に大きな損を被ることになります。

ですから、預貯金にもリスクが存在します。

利息がほぼつかない銀行にお金を預ける行為はいわばハイリスクノーリターンの投資をしているようなものですから、預金の一部でも投資に回すという行動を国をあげて促すということは決して間違っていません。

でも、だからと言ってつみたてNISAによって投資を促すことが日本国民の資金を伸ばすことに繋がるとも思えません。

 

アメリカで投資が行われて金融資産が伸びているのにはきちんと理由があります。

1つは投資に対する価値観です。

アメリカでは「投資とは金銭的な援助を行うことである」という価値観が根付いています。投資が尊い経済活動の一つとして、認識されているのです。

一方日本では「えっ、投資ってギャンブルでしょ?」なんて言われることも多々あります。

「楽して稼ぐ」なんてイメージもありますよね。

「投資=悪」「預金=善」ということが小さい頃から刷り込まれているように思われます。

その証拠に、子供が「投資家になりたい」と言うことなどほぼありませんし、仮に子供がそんなことを言えば親はきっと反対することでしょう。

法律的に言っても、日本では専業の個人投資家という職業は存在しません。専業の個人投資家は無職扱いです。

このように、日本とアメリカでは投資の捉え方が大きく異なり、アメリカでは投資に対して良いイメージがあるので、投資を行う際にメンタルブロックがかからないということが挙げられます。

そしてもう1つ、

「アメリカ人は子供の頃から投資について教わっているからこそ、それが利益に繋がっている」ということが言えます。

日本では学校で投資の「と」の字も教わりません。学習要領にもありません。

学校で投資を教え始めたら「ギャンブルなんて教えるな!!」とクレームを言い出す保護者も大勢出てくることでしょう。

しかしアメリカでは当たり前のように子供に対して投資教育が施されるのです。

まとめると、アメリカでは投資に対して良いイメージがあり、真っ当な1つの仕事として認知されており、子供の頃から投資教育がしっかりと行われているからこそ投資によって個人の金融資産が伸びている、ということです。

ですから、もし本当の意味で日本政府が日本国民の金融資産を増やし、経済をもっと回したいのであれば預金信仰を壊して国民の投資に対するイメージを覆し投資教育を行った上でつみたてNISAのような制度を作るべきでしょう。

つみたてNISA、2つのデメリット

とはいえ、今お伝えしたような問題に対して政府が何も考えていないわけではありません。

内閣府大臣政務官の村井英樹氏は

「つみたてNISAは、初心者の方に成功体験を持っていただきたくそのきっかけとなる重要な仕組みです。」とAERA10月9日号にて語っています。

そしてそのためにつみたてNISAにて対象となる商品は、例えば値動きが安定すると見込まれ、販売手数料や信託報酬が低い、といった基準によってかなり厳しく厳選されています。

また村井氏は、

「実は証券会社にとってつみたてNISAは採算が取れないシステムではあるけれど、まずはお客さんに成功体験をしてもらうことが大切だ」と説明されていました。

とにかく最初に勝つことを味わってもらうためのシステムがつみたてNISAだということですね。

ただ、この話だけ聞けば、「じゃあやっぱり、つみたてNISA良いんじゃない?」と思われるかもしれませんが・・・そう簡単な話ではありません。

適当にどの商品を選んでも簡単に利益が出せるわけではありませんし、長期投資を前提にしていますので途中大きく含み損を抱えてしまい、その重荷に耐えられずロスカットしてしまう可能性も大いにあります。

しかもその場合は「損益通算できません

つみたてNISAの口座以外で獲得した利益と通算することはできないということです。

もちろん「繰越控除できません

通常でしたら確定申告をしておけばその損失を最大3年間繰り越すことができますが、つみたてNISAの場合はそれができません。

損失を出した場合はNISA以外の口座で取引してた方が得だったということになりますね。

話をまとめるとつみたてNISAは利益を出せるのであれば有益な制度ですが損失を出した時は通常よりも金銭的デメリットが大きくなります。

ですから、はっきり言って自分としてはつみたてNISAはお勧めできません。

いくら扱われる商品が厳選されている、と言ってもリスクが無い商品など1つも存在しません。

いつ何時、リーマン級の出来事が起こって大きい含み損を抱えてしまうか分かりません。

しかも多くの方はいつどのタイミングで買うのか徹底的に吟味して投資を行うわけではないでしょう。

証券会社の担当者にアドバイスを求めて言われるがままに買う方も少なくないでしょう。

それでは、利益が出るはずがありません。

どうかあなたも巷にあるつみたてNISA関連の広告などに惑わされることなく利益を出し続けるために本当に必要なものは何なのかということを徹底的に考えて投資をされてください。

確かに商品は厳選されているもののつみたてNISAは利益が保障される制度ではなく税金面で優遇されているだけということをお忘れなく。

利益が出ていない状態で税金のことを過剰に気にするのはお門違いですね。

「分散投資」はむしろ悪

つみたてNISAについてお伝えしてきましたが、結局投資で稼ぎ続けるために大切なことは長期投資をすることでも分散投資をすることでもありません。

「短期投資でも長期投資でも良いので、とにかくどんなことが起こっても勝ち続けられる状況を作る」ということです。

そして、そのために分散投資を使うことは間違っています。リスクヘッジできているように見えて本当の意味でのリスクヘッジには全くなっていません。

いつも口すっぱくお伝えしているように銘柄を1つに絞って買いポジションと売りポジションのバランスに関する戦略を立てること、これが勝つための基本です。

こんなことを言っているのは世界中探しても自分くらいだと思いますので、基本と言われてもピンとこないかもしれませんが、信じた方は実際に利益を出されています。

証拠として実践者の声と、生の実績はこちらで紹介させていただいておりますのでぜひご覧になってください。

→ http://kabu-ac.com/voice/

それでは本日はここまでです。

あなたが世間に蔓延する甘い情報に流されることなく本当に勝ち続けられる投資をされることを切に願います。

 

下山敬三

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