こんにちは、下山です。
年始早々、原油価格が上昇しています。
「米国原油指標であるWTI原油先物が一時61.50ドルまで上昇しました。約2年半ぶりの高値です。」みたいなニュースが流れました。
ただ、こういったニュースを見て「原油価格のニュース、いまいちピンとこない」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「株ならなんとなくイメージがつきやすいけどWTIって何?」と思っている方もいらっしゃると思います。
そこで本日は原油価格をテーマに話してみたいと思います。
- WTIとは?
- 原油価格が上昇する要因は?
- 2018年の原油価格の見通しは?
- 原油価格上昇によってどんな銘柄の株価が上昇する傾向にあるのか?
こんなテーマで話をさせてもらいます。
「これ知ってたら儲かります!」という話ではありませんが、投資をしているのなら常識の範囲で知っておきたい知識を共有しておきます。
WTIって何?
「WTI原油先物が一時61.50ドルまで上昇」
このニュースを聞くだけで拒否反応を起こす方、いらっしゃらないでしょうか?
WTIという意味の分からない3文字に嫌気がさす方もいらっしゃるかもしれませんが・・・難しく考えないでください。
まず世界には3大原油指標があります。
・ドバイ原油
・ブレンド原油
・WTI原油
この3つですが・・・
一般的に原油価格が上昇したとか下落したとかそういったニュースが流れたら「WTI原油先物」の価格のことを指します。
では、「WTI原油」とは何か?
アメリカの西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指します。
高品質なので例えば中東のドバイで産出される原油よりも高値で取引されるケースが多いのです。ただし、たくさん産出されるわけではありません。WTIは全体の1%にも満たない量しか産出されていません。
ではなぜ産出量が少ない「WTI原油先物」が世界的な指標になっているのか?
それは、ファンドなど市場参加者が多く取引量が多いからです。
というのがWTIの簡単な説明ですが、少し原油価格のイメージが見えてきましたか?
ちなみに、「WTI原油先物」はアメリカ経済の動向を示す指標としても活用されますのでそのことも少し頭に入れておかれると良いでしょう。
なぜ原油価格が上昇しているのか?
では、その原油価格がなぜ今、上昇傾向にあるのでしょうか?
まず1つ言えるのが減産効果です。
昨年の11月30日、石油輸出国機構(OPEC)はロシアなどと実施している協調減産を2018年12月末まで9カ月延長することで合意していますが、原油の産出が減り、在庫が減れば当然原油価格は上昇しますよね。
また、イランなどの原油生産国の供給減少に対する懸念もあります。
こちらは昨年の12月28日に始まったイランの反政府デモの影響ですね。
2018年の原油価格見通しは?
では、今後の原油価格見通しについて、お伝えします。
2018年の原油価格見通しを考える上で1つポイントとなるのが「協調減産の終わり」です。
上でお伝えしたように現在、減産が2018年12月末まで延長されていますが、すでに協調減産は二度延長されています。
もし2018年の12月に再度延長されなければ、今年いっぱいで減産が終わることになります。
先にもお伝えしたように原油価格は減産期待によって上昇している面が大きいので、もし減産が終われば原油価格下落材料になり得ると考えられます。
ちなみに現在の減産体制には目標があります。
「先進国の石油在庫が過去5年平均まで減少すること」という目標ですが・・・
実際に先進国の石油在庫は減少しており、過去5年平均に徐々に近づいてきています。
このままのペースで在庫の減少が続けば過去5年平均レベルまで減少するとみられています。
そうなると減産の終わりがより強く意識される可能性は高くなりますね。
あと、減産の終わりが話題になり始めるタイミングがあるとすれば6月あたりではないかと想定されます。なぜなら6月22日にOPEC総会が予定されているからです。
OPEC総会で減産の話題が出ることにより、減産の終わりが意識され始める可能性がありますね。
話をまとめると、原油価格はしばらく上昇傾向は続いたとしても2018年の6月頃から減産終了が意識され始め、2018年後半は減産終了という材料によって下落する可能性がある、ということですね。
上昇期待銘柄
では最後に原油価格の上昇によって恩恵を受ける可能性がある銘柄を紹介しておきます。
これはもう本当にそのままですが、「資源関連」の銘柄が考えられます。
一部例を挙げると
・国際石油開発帝石(1605)
・昭和シェル(5002)
・出光興産(5019)
といった企業が考えられます。
もちろん、絶対これらの銘柄の株価が上昇する、とは言い切れませんが、株価上昇の期待がもてる企業ではあります。
参考に、それぞれの企業について現状どのような状況にあるのか四季報(2018年新春号)のコメントを一部引用させていただきます。
❝『原油、ガスも生産減退ただ、円安や想定上回る原油高で営業増益幅拡大』❞
とコメント欄に記載あり。
また、今期営業利益の予想が前号より5~30%増の企業につけられる上向き矢印1個が記載されています。
四季報で矢印2つです。
「今期営業利益の予想が前号より30%以上増えている」という意味ですね。
また、
❝『下期は原油高に伴い在庫評価益拡大。ガソリンなど石油製品のマージンも尻上がり。』❞
と記載あり。
四季報で矢印1つです。
コメント欄には
❝『下期も製品マージン拡大続く上に設備が高稼働。19年3月期も事業全般に好環境続く。』❞
と記載あり。
縛られるな!
今回の記事を通じて原油取引の実体がより明確にイメージできるようになっていれば幸いです。
ただ、肝心なことは「世界は想定通りに動かない」ということです。
OPEC総会が6月と12月に開催されることは99.9%確定ですが、減産が延長されるかされないか、ということは今の時点で誰もはっきりしたことは言えません。
ですから、思い込みは絶対にNGです。
「2018年は年末にかけて原油価格は下落するから原油関連銘柄の株価も下落して・・・」みたいな感じで勝手に決めつけてトレードするのは愚の骨頂です。
知識に溺れて勝手な予想に縛られてトレードすればいつか必ず痛い目を見ますのでその点は十分にご注意ください。
それでは本日も最後までご覧いただき、ありがとうございます。
下山敬三
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