こんにちは、下山です。
先週、FRB次期議長にハト派と見られるジェローム・パウエル現理事が指名され、マーケットが一安心した雰囲気がありますが・・・
「この人事は、トランプ大統領によって仕掛けられた戦略だ」と主張する、興味深いコラムがロイターに掲載されていました。
こちらです→ http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKBN1D20O1
ご自身で読んでいただければと思いますが、内容をかいつまんで紹介させてもらいます。
トランプ大統領は本心ではイエレン議長を再任したくない。ただし最初からパウエル氏を指名すると、市場関係者はつまらないと思うだろう。
そこで、トランプ大統領は、タカ派のジョン・テイラー教授を入れて、この3人から選ぶと宣言する。ほとんどの人は、タカ派のテイラー教授よりも残りの2人の方がよいと思い、この人事をドキドキして見る。
そして、パウエル理事が選ばれると、「ああ、よかった」と安心する。
という内容です。
単純にパウエル氏を選ぶのではなく選ぶつもりもないテイラー氏をあえて選択肢に入れることでパウエル氏の価値を高めた、ということです。
トランプ氏が本当にこれを考えて今回の指名を行なったかどうかは分かりませんが、本当にそうならば世界中のマーケット関係者はまんまとトランプ氏の戦略にハマったということになりますね。
そして、もしあなたがファンダメンタルズ分析に頼ってトレードを行うのであればこのようにニュースの裏をしっかりと読むことも非常に重要だと言えます。
過熱感が出てきた日本株
さて、話題を「日本株」に移しましょう。
相変わらず 日本株の勢いが継続していますがここにきて徐々に「過熱感」が出てきたように 思われます。
10月に日経平均株価が 過去最長となる16日連騰を記録した際、 東証一部の売買代金は 2兆円程度でしたから、 過熱感を伴って 株価が上昇している雰囲気は あまり感じられませんでした。
過熱感というよりは 単純に
「単に個人投資家が売り、それを海外投資家が買う」
というサイクルによって 株価が上昇する状況が 続いていました。
下記のページで 売買状況に関する詳細なデータを 確認できますが、
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/index.html
10月第4週は
・外国人投資家:買越6678億円
・個人:売越5924億円
となっており、 10月第4週時点で外国人投資家は5週連続買い越し、 個人投資家は7週連続売り越しです。
日本株市場の7割を占めると言われる 外国人投資家が買っているのだからまあ上昇するのも当然、 という状況が続いていました。
ところが、 先週を振り返ってみると どの日も 売買代金が3兆円を超えており、 中には4兆円を超える日もありました。
参照:http://www.jpx.co.jp/markets/equities/summary/01.html
このことから そろそろ日本株市場が本格的に過熱感を帯びて 上昇してきたように 感じられます。
企業の決算内容も全体的に良いですし、おそらく、これまで日経平均株価の上昇を懐疑的に見ていた方の中にも「この上昇は本物なのではないか」 と思い始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「これから買ってみようかな」 と思い始めた方もいらっしゃることでしょう。
が・・・今日はそんなあなたに 警告の意味も含めた お話をさせてもらいます。
自ら崖に突っ込むバッファローの話
あなたは
「外国人投資家が何週も連続で買い越している」「過熱感が高まっている」という話を聞いて何を感じますか?
おそらく「今買いたい」と思ったりするのでは無いでしょうか。
もちろん、「今から買うべきでは無い」と言うつもりはありません。
しかし、「人は周りの人々につられて行動してしまい致命傷を負うものだ」
ということだけは覚えておかれてください。
この性質を野村證券で支店長を務めた山崎和邦氏は、著書『株式投資の人間学』の中で『バッファロー現象』としてうまく解説されています。
北アメリカに住むインディアンの部族は皮革用にバッファローを捕獲するそうですが、その際、バッファローの一軍を崖に向かって走らせるそうです。
バッファローは走る時、頭を低く下げているので遠くを見ることができず、またバッファローの目は側面の方についているので周りのバッファローが走り出すとつられて走り出すそうです。
結果、走らされたバッファローたちは次々とあっけなく崖に落ちていき、インディアンはそのバッファローを簡単に捕獲できる、というわけです。
そして、大多数の個人投資家も、周りの人間が買い始めるとまさにこのバッファローのように、「今買うべきだ」という考えで頭がいっぱいになり、最終的に自ら崖に突っ込んでいく傾向があります。
感情が高ぶって冷静に物事が判断できなくなるんですね。
「いや、自分には関係ない話だ」と思うかもしれません。
でもそう思い、油断されている方ほど、バッファローのように相場に走らされていずれ崖に落とされやすいタイプの方ですからどうぞご注意ください。
例えば・・・
「日経平均で買いポジションを大量に保有して大儲けした!!」
なんて声を聞けば聞くほど「自分もその波に乗らないと損!」と考えるようになり、とりあえず少し買ってみたらあっという間に利益獲得。
そこで「もっと利益が欲しい」と欲望が抑えきれなくなり、ありったけの資産を投入してトレードをし続けていたところ、ある時、ストーンと株価が下落して結局資金の大半を失う・・・なんてことは誰にでも起こり得ることです。
どれだけ慎重な方でも一旦甘い蜜を吸ってしまうと抑制が効かなくなり走り出してしまうケースは後を絶ちませんのでどうぞ今一度あなたの意識を確認されてください。
ジョーカーを引くな
最後に話をまとめておきましょう。
日経平均の上昇トレンドがまだ続くのかどうか、それは分かりません。
後から振り返ってみれば、今の株価がまだまだ序章にすぎなかった、という可能性もあります。
しかし、今のように過熱感が高まるタイミングに冷静に相場と向き合えるトレーダーこそが最終的に生き残る、ということは忘れないでください。
海外投資家によって何週にも渡って買い越されているポジションはいつか必ず売り戻し決済されます。
そして必ず下落する日が訪れますので、その日に大量の買いポジションを抱えさせられてジョーカーを引くようなトレードだけは避けてください。
また、よく相場の世界では「大勢の人間が買い始める頃には天井が近い」なんてことが言われますが、プロのトレーダーは多くの個人トレーダーが買いで入ってくる頃にはすでに売り抜けてしまっているものです。
ですから、「誰かが大儲けした」というような話を聞いてから入っているようでは手遅れの可能性が高い、ということも頭に入れておかれてください。
それでは本日も最後までご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
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